電気工事でもアスベスト調査は必要?2026年の法改正と対象工事を解説

公開日:2026/09/25
電気工事でもアスベスト調査は必要?2026年の法改正と対象工事を解説

配線や照明、電気設備などを扱う電気工事では、アスベスト調査が必要ないのではないかと考える方も多いのではないでしょうか。電気工事であっても、工事内容によってはアスベストの事前調査が必要になることがあります。また、2026年1月からは、発電・配電・変電・送電設備など一定の工作物について、事前調査が義務化されました。

本記事では、電気工事でアスベスト調査が必要になるケースや法改正の内容をわかりやすく解説します。

電気工事でもアスベストの事前調査は必要?

電気工事であっても、建築物や工作物の解体・改修に該当する場合は、工事前にアスベストの事前調査が必要です。工事の規模にかかわらず、施工する部分のすべての材料について、アスベストが含まれているかを確認しなければなりません。

具体的には、配線工事のために壁や天井に穴を開けたり、既存の電気設備を撤去・交換したりする工事が該当します。建築物の改修工事には、電気設備の設置・修理・撤去なども含まれます。とくに、2006年9月以前に建てられた建物や設置された設備は、アスベスト含有建材が使用されているケースが多いため、目に見えない微細なアスベスト粉じんが空気中に飛散するリスクがあります。

事前調査を行わず、切断や穿孔、解体すると、作業員が直接ばく露する可能性があるため、工事の規模や内容に関わらず、作業着手前の確認が欠かせません。

2026年の法改正で電気工事のアスベスト調査はどう変わった?

電気工事に関係する大きな変更点は、工作物のアスベスト事前調査を行う人に資格要件が設けられたことです。これまでも工作物の解体・改修時にはアスベストの事前調査が必要でしたが、2026年からは一部の工作物について、必要な知識を持つ有資格者による調査が義務付けられています。

2026年1月から工作物の事前調査にも資格が必要

2026年1月1日以降に着工する工事では、一定の工作物を解体・改修する際のアスベスト事前調査を「工作物石綿事前調査者」などの有資格者が行わなければなりません。

建築物については、すでに2023年10月から建築物石綿含有建材調査者などによる事前調査が義務化されていました。2026年の制度変更によって、工作物についても調査者の資格要件が設けられました。

なお、建築物石綿含有建材調査者の資格を持っている場合でも、対象となる工作物によっては工作物石綿事前調査者の資格が別途必要になるため注意しましょう。

発電・配電・変電・送電設備も対象

有資格者による事前調査の対象となる特定工作物には、電気設備も含まれています。具体的には、発電設備、配電設備、変電設備、送電設備が対象です。なお、発電設備のうち太陽光発電設備と風力発電設備は除外され、送電設備にはケーブルも含まれます。

そのため、対象となる電気設備の改修や撤去、部品交換などを行う場合には、着工前に有資格者によるアスベスト事前調査が必要です。厚生労働省も、発電・配電・変電・送電設備の改修工事を、有資格者による調査が必要となる工事の例として挙げています。

ただし、建築物に設けられた電気供給設備などの「建築設備」は工作物ではなく、建築物の一部として扱われます。したがって、同じ電気工事でも、建築物の電気設備を扱うのか、特定工作物に該当する電気設備を扱うのかによって、必要となる調査者の資格が異なる点に注意が必要です。

アスベストの事前調査が必要になる電気工事

アスベストの事前調査が必要かどうかは、電気工事の種類ではなく、既存の建築物や工作物にどのような作業を行うかによって判断されます。建築物の改修には、建物本体のリフォームだけでなく、受変電設備や照明器具、警報設備などの建築設備工事も含まれます。解体・改修に該当する場合は、工事の規模にかかわらず、原則として施工箇所のすべての材料について事前調査が必要です。

建物の壁や天井に穴を開ける工事

配線や電気設備を設置するため、既存の壁や天井に穴を開ける工事は、アスベストの事前調査が必要になる代表的なケースです。たとえば、配線を通すための穴あけや、照明器具・スイッチ・コンセントなどを取り付けるために壁や天井を穿孔する作業が挙げられます。小さな穴であっても、電動工具などを使用してアスベストが含まれている可能性のある壁面等に穴を開ける場合は、事前調査が必要です。

「小規模な電気工事だから調査は必要ない」とは限らないため注意しましょう。厚生労働省でも、エアコンの取り付けなどの小規模工事を含め、原則として改修等の対象箇所に使用されている材料の事前調査を求めています。

電気設備を改修・撤去する工事

既存の電気設備を改修・撤去する場合も、建築物や工作物の解体・改修に該当すれば事前調査が必要です。建築物に設けられた電気設備には、受変電設備や予備電源、幹線、照明器具、警報設備、避雷針などがあります。こうした設備の改修に伴って既存の建材を切断・撤去する場合などは、工事を始める前にアスベストの有無を確認しなければなりません。

また、建築物とは別に工作物として扱われる発電設備や配電設備、送電設備などもあります。2026年1月1日以降に着工する一定の工作物の解体・改修工事では、有資格者による事前調査が必要となるため、設備の種類も確認しておくことが重要です。

アスベスト調査が不要となるケース<

電気工事であっても、既存の材料をほとんど損傷せず、アスベスト粉じんが発散しないことが明らかな作業については、事前調査が不要となる場合があります。たとえば、アスベストが含まれていないことが明らかな電球などを取り外す作業や、ボルト・ナットなどの固定具を外すだけで周囲の材料を損傷しない作業が該当します。

また、釘を打つ・抜くといった、材料に極めて軽微な損傷しか与えず、アスベストが飛散する可能性がほとんどない作業も事前調査の対象外です。ただし、電動工具などで壁や天井に穴を開ける作業は、軽微な損傷には含まれません。 小規模な工事でも事前調査が必要になる可能性があるため、作業によって既存の建材を損傷するかどうかを基準に判断することが大切です

事前調査を怠った場合のリスク

アスベストの事前調査を行わないまま電気工事を進めると、作業者や周辺住民がアスベストにばく露するおそれがあります。アスベストは吸入すると肺がんや中皮腫などの重篤な健康障害を引き起こす可能性があるため、解体・改修工事では事前に使用の有無を確認し、必要な飛散防止措置を講じることが重要です。

また、アスベストの事前調査は、石綿障害予防規則などに基づく義務です。調査を実施するだけでなく、結果の記録や作業場所への掲示、一定規模以上の工事では行政への報告なども求められます。

必要な調査や飛散防止措置を怠れば、法令違反として行政指導や罰則の対象となる可能性があるほか、工事の中断や追加対応によって工期や費用に影響することも考えられます。万が一、工事中にアスベストが飛散する事態になれば、SNSやメディアで取り上げられて企業イメージが低下するだけでなく、取引先からの信用を失い、取引停止につながるなど、経営に深刻な影響を及ぼすおそれもあります。

そのため、電気工事を行う際は事前に施工箇所や作業内容を確認し、アスベスト調査の要否を適切に判断することが大切です。

まとめ

電気工事であっても、建物の壁や天井に穴を開けるなど、既存の建材や設備を解体・改修する場合には、原則アスベストの事前調査が必要です。ただし、工事内容によっては事前調査の対象にならないケースもあります。

また、2026年1月からは、発電・配電・変電・送電設備など一定の工作物について、有資格者による事前調査が義務化されました。電気工事だからアスベスト調査とは関係ないと判断せず、施工する場所や設備、作業内容をしっかりと確認することが大切です。

アスベストに関する規則を違反すると、損害賠償リスクや企業イメージの悪化といったリスクがあります。判断に迷う場合には、専門知識を持つ事業者に確認してみましょう。

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