築20年以上の家の屋根には、アスベストが含まれている可能性があります。健康への影響が心配されるアスベストですが、正しく見分けて適切に対処すれば問題ありません。この記事では、自宅の屋根にアスベストが含まれているかを調べる方法と、リフォーム時の注意点を解説します。
目次
アスベスト屋根とは
アスベストは建材として優れた性質を持っているため、多くの住宅で使われてきました。まずはアスベストの基本的な知識と、どんな屋根に使われているのかを確認しましょう。
アスベストが使われた理由
アスベストは、天然の鉱物繊維で「石綿」とも呼ばれます。熱に強く、音を遮る力があり、しかも値段が安いという優れた性質があったため、1960年代から2000年代初頭にかけて多くの建物に使われました。とくにスレート屋根と呼ばれる薄い板状の屋根材では、アスベストを混ぜることで強度が大幅に上がりました。
アスベストが入っている屋根は割れにくく、長持ちするという利点があったのです。しかし、その後アスベストが人体に悪影響を及ぼすことが明らかになり、段階的に使用が制限されていきました。
健康への影響
アスベストの繊維は非常に細かく、空気中に舞うと吸い込んでしまう恐れがあります。長期間にわたってアスベストを吸い込むと、肺がんや中皮腫といった深刻な病気を引き起こす可能性があるため注意が必要です。ただし、屋根材に使われているアスベストは、セメントで固められているため通常の状態では飛散しにくくなっています。
国の基準でももっとも危険度が低い「レベル3」に分類されており、普通に暮らしている分には健康被害の心配はほとんどありません。問題になるのは、リフォームや解体工事で屋根を壊したり削ったりする時です。
製造が禁止された経緯
アスベストによる健康被害が報告されるようになり、日本では段階的に規制が強化されました。1975年には含有率5%を超える吹き付け作業が禁止され、1995年にはアスベストの一部の種類が全面禁止となりました。
そして2004年には含有率1%を超える製品の製造が停止され、2006年9月以降は完全に使用が禁止されています。つまり、2006年以降に建てられた家の屋根には、アスベストは含まれていないということになります。
アスベスト屋根の見分け方
自宅の屋根にアスベストが含まれているか気になる方も多いでしょう。ここでは、専門家ではなくてもできる3つの確認方法を紹介します。
建築年数から判断する
もっともかんたんな確認方法は、家が建てられた年を調べることです。2006年以降に建てられた家であれば、アスベストが含まれている心配はありません。逆に2004年以前に建てられた家の場合は、アスベスト入りの屋根材が使われている可能性があります。
ただし注意したいのは、1990年代からすでにアスベストを使わない製品も流通していたという点です。そのため、築年数だけでは確実に判断できません。とくに1990年代から2004年の間に建てられた家は、アスベスト入りの場合もあれば、そうでない場合もあるため、他の方法と組み合わせて確認する必要があります。
屋根の劣化状態で見分ける
じつは、屋根の状態を見ることでもある程度の判断ができます。アスベストが入っている屋根は非常に丈夫で、築20年程度ではひび割れや欠けがほとんど見られません。一方、アスベストが入っていない屋根は強度が弱く、築10年を過ぎるとひび割れが目立ち始めます。築20年近くなると、かなり多くのひび割れや欠けが発生するのが特徴です。
もし2階の窓から下の屋根が見える場合は、ひび割れの有無を確認してみましょう。築15年以上経っているのに屋根がきれいな状態なら、アスベスト入りの可能性が高いといえます。ただし、屋根に登るのは危険なので、自分で確認しようとするのはやめましょう。
専門業者に調査を依頼
もっとも確実な方法は、屋根のリフォームを行う専門業者に調査を依頼することです。専門業者は屋根材の裏側にある製造番号を確認したり、必要に応じて分析調査を行ったりすることで、正確にアスベストの有無を判断できます。じつは2022年4月から、リフォームや解体工事を行う前には、アスベストの事前調査が法律で義務付けられました。
調査を怠ると罰則の対象になる場合もあります。費用は業者によって異なりますが、事前調査だけなら比較的手頃な金額で依頼できることが多いため、不安な場合は早めに相談することをおすすめします。
リフォーム時の対処法
アスベストが含まれていた場合、適切な方法でリフォームする必要があります。ここでは2つのおもな工法とそれぞれの特徴を説明します。
カバー工法のメリット
カバー工法とは、今ある屋根の上に新しい屋根材を重ねる方法です。古い屋根を取り外さないため、アスベストが空気中に飛散する心配がありません。アスベストを封じ込める形になるため、健康面でも安全性が高い方法といえます。
また、屋根材の撤去作業や処分費用がかからないため、葺き替えと比べて費用を30%から50%程度抑えられるのも大きな利点です。工期も短く済むため、生活への影響も最小限に抑えられます。30坪程度の住宅なら、160万円から240万円程度が目安となります。
ただし、下地が傷んでいる場合や、すでに一度カバー工法を行っている屋根には使えないため注意が必要です。
葺き替え工事の特徴
葺き替え工事は、古い屋根を完全に取り外して新しい屋根に交換する方法です。アスベストを根本から取り除けるため、将来的な不安を完全に解消できます。また、下地も新しくできるため、屋根全体を長持ちさせられるのも利点です。
ただし、アスベストを含む屋根材は産業廃棄物として特別な処理が必要で、処分費用が通常の2倍程度かかります。作業する人も専門の資格が必要で、飛散防止のための養生なども厳重に行わなければなりません。そのため、カバー工法と比べて1.2倍から1.5倍程度費用が高くなります。
長く住み続ける予定があり、予算に余裕がある場合は検討する価値があるでしょう。
まとめ
アスベスト屋根は建築年数や劣化状態である程度判断できますが、確実に知りたい場合は専門業者への調査依頼が安心です。2006年以前に建てられた家で、築20年近く経っているのに屋根がきれいな状態なら、アスベストが含まれている可能性が高いといえます。リフォームが必要になった際は、費用を抑えたいならカバー工法、根本的な解決を望むなら葺き替え工事がおすすめです。どちらの方法を選ぶにしても、必ず実績のある専門業者に依頼し、適切な対処で安全な住まいを維持しましょう。
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引用元:https://northk.jp/lp/