建築業界で働く人や、工事現場の周りで生活する人々に健康被害を出さないように厚生労働省が定めているのが石綿障害予防規則です。段階的に法改正を重ねてすべての建築物や一定規模以上の解体・改修工事について石綿の有無の事前調査結果の報告が義務化されました。この記事では、アスベスト法改正でなにが変わったのかを徹底解説します。
アスベストとは
アスベストは、石綿鉱石から採掘される繊維状のケイ酸鉱物で、耐熱性と耐火性に優れているのが特徴です。昭和30年くらいから建築材料や断熱材として、さまざまな建築物などで使われてきました。
アスベストのリスク
アスベストを吸い込んでしまうと、健康面で非常にリスクが高いです。微細なアスベスト繊維を吸い込んで肺に入ってしまうと、なかなか外に出ることはありません。
そのため、慢性的な呼吸器疾患や、石綿肺・肺がんなどの疾患が発症する可能性が非常に高くなってしまいます。アスベストに関しての疾患は、アスベストにばく露してから長い年月を経てから発症すると言われています。
たとえば、中皮腫は平均35年程という長い期間潜伏したあとで発病するパターンが多いです。
アスベストに関する法規制
2021年に大気汚染防止法の改正があってから段階的に、アスベストの規制が強くなっています。アスベストに関する法規制によって、刑事罰や罰金なども科せられる可能性もあるでしょう。
大気汚染防止法
大気汚染防止法とは、日本における大気汚染の防止を目的とした法律です。産業活動や自動車の排出ガスなどによる汚染物質の規制を行い、健康と生活環境を守るために改正をしてきました。大気汚染を防止するための法律ですが、健康に悪影響を及ぼすような粉塵なども規制対象です。
アスベストの事前調査が法定化されたことにより、報告義務や有資格者しかアスベスト調査ができないなどの決まりができました。
石綿障害予防規則
石綿障害予防規則は、アスベストからの健康被害を防ぐための目的で制定された日本の規則です。建設業や解体業に従事する労働者を対象に、石綿の飛散を防ぐための厳格な管理基準が設けられています。
この規則によって事業者は作業前に石綿の有無を調査して、適切な防護措置を講じることが義務になっています。アスベストが気化しやすいような作業環境では、最適な換気システムなどの設置が大切です。
また、石綿が使用された建物の解体時には専門的な処理を行うことで、周囲への健康被害を最小限に抑えられます。解体の際には、それらの処理が必ず求められます。
廃棄物処理法
廃棄物処理法とは、廃棄物の適切に処理することで環境保護を目的とする基本的な法律です。産業廃棄物や一般廃棄物の収集・運搬・処分について厳格な規制を設けています。
この法律は、廃棄物が不適切に処理されることによる環境汚染を防ぎます。アスベストを含んでいる廃棄物などは、廃棄物処理法に基づいて適切な取り扱いが必要です。アスベスト含有廃棄物に関しては、厳格なガイドラインがあります。
このガイドラインは、万が一にでもアスベストが環境に放出されることを防いで、人々の健康と環境を守るために重要です。事業者は、アスベスト廃棄物を適切に処理する目的で許可を取得して、決められている流れに沿って作業を行う必要があります。
労働安全衛生法
労働安全衛生法とは、日本の労働者の安全と健康を守るために制定された法律です。この法律では、職場での労働災害の予防や健康管理の基準を定めています。事業者に対して安全な作業環境の整備や労働者の健康診断の実施、適切な安全教育の提供を義務付けています。
労働安全衛生法は、作業場などでアスベスト曝露のリスクを軽減するための基準を設けているのも特徴です。そして、労働者自身も安全に配慮してアスベスト被害を未然に防ぐ責任があります。アスベストに関連する健康の被害があるかもしれないケースなら、労働者は職業病として報告することが可能です。
雇用者は、労働者が職業病という報告をした場合に、事業主は改善するために適切な対応を取ることが必要になります。
アスベスト作業に関しての法改正の内容
アスベスト作業を行う上で、作業者や周辺住民の健康被害を起こさないために、大気汚染防止法が改正されました。ここでは、アスベスト作業に関しての法改正の内容について詳しく紹介します。
作業結果の報告義務付け
アスベスト除去の作業を行う際のアスベストの取り残しを防止する目的で、令和3年4月1日に作業結果の発注者への報告の義務付けが法律で施行されました。必要な知識を持っている方からの作業終了の確認が必須になり、作業記録を保存することも法律で義務化されています。
作業基準遵守義務の対象者拡大
短期間での工事のケースで命令を実行する前に工事が終わってしまわないように、令和3年4月1日に下請け業者も作業基準遵守義務の対象者としました。作業基準遵守義務の拡大によって、元請業者だけではなく下請業者も特定建築材料や特定粉じん排出等作業の種類ごとに作業基準を遵守する必要があります。
新たに直接罰の追加
令和3年4月1日にアスベスト作業を行う際に、直接の罰が下されるようになりました。アスベスト作業で直接罰になるケースは「危険度が高いアスベストレベル1に分類される吹付けアスベストの除去作業を行う際に隔離をしないで作業をした場合」です。
アスベスト法改正のポイント
アスベストによる健康被害を防ぐために、平成17年に石綿障害予防規則が制定されています。改正の主な内容としては建物の解体・改修時における石綿の事前調査が義務化されて、違反した場合には罰則が強化されました。
この規則では、作業を始める前にアスベストの含有の有無を事前に調査することや、建築物などの解体・改修工事を行う際に適切な措置を講じることが義務付けられています。しかし、これらの措置が適切に行われていないケースも確認されているのが事実です。
そのため令和2年7月に石綿障害予防規則が改正され、健康障害を防止するための対策が強化されました。
石綿含有の事前調査
石綿含有の事前調査は、建物の解体や改修工事を行う際に極めて重要なポイントです。最新の法改正により、石綿(アスベスト)が含まれている可能性がある建物については、工事前に専門資格を持っている技術者が事前調査を行うことが義務付けられました。
この調査結果は、適切な処理計画の策定や安全対策の基礎となり、工事中の石綿飛散リスクを減らすために不可欠です。違反時には厳しい罰則が科されることから、事業者は法律の遵守が必須になっています。
吹付け石綿・石綿含有保温材の除去工事
吹付け石綿・石綿含有保温材の除去工事は、作業者と周囲の安全を確保するために厳格な規制が導入されました。改正法では、これらの石綿含有材料を除去する際に、事前調査の結果に基づいた作業計画を作成して厚生労働省に届け出ることが義務付けられています。
除去工事は専門的な技術を持っている作業者が行い、作業エリアの封じ込めや適切な防護措置を行う必要があります。また、石綿の飛散防止策が徹底され、工事後の検査により安全が確認されるまで厳しい管理が続けられるのも変化したポイントです。
石綿含有成形板等・仕上塗材の除去工事
石綿含有成形板等・仕上塗材の除去工事では、作業の安全性を強化するために新たな基準が設けられました。改正法によって石綿含有の成形板や仕上塗材を扱う際には、専門的な事前調査が必要となり、その結果に基づいた安全管理措置が求められます。
除去工事では、石綿の飛散を防ぐための徹底した封じ込めと、適切な防護具の使用が義務付けられています。そのため、作業終了後の空気中の石綿濃度測定も必要です。これにより、作業者および周囲の住民の健康リスクをさらに抑えることができます。
作業実施状況の記録
令和3年4月から、工事作業を行なった状況を写真にて記録して、3年の間は保存する義務が発生します。アスベストを含んでいる建物や工作物などの解体・改修工事は、作業を行なった状況がわかるように写真を残しておく必要があります。
労働基準監督署への届出
工事前に労働基準監督署へ届出を行う際は、令和3年4月から吹付石綿やアスベストを含む保温材の除去工事の場合、14日前までに労働基準監督署へ届け出る必要があります。また一定の基準を超える建築物や特定の工作物の解体・改修工事に関しては、電子システムを利用して事前調査の結果を提出する必要があります。
まとめ
アスベストを吸い込んで肺に入ってしまうと、なかなか排出されることはないので、深刻な健康リスクをもたらす危険な物質です。2021年に大気汚染防止法の改正があってから少しづつアスベストの規制が強くなっていて、法規制による刑事罰や罰金なども科せられる可能性もあるでしょう。
アスベスト作業に関しての法改正の内容は、アスベスト作業を行うときに、作業者や周辺住民に健康被害を出さないよう大気汚染防止法が改正されています。
アスベストに関する健康障害の予防対策の推進を図るために、平成17年に石綿障害予防規則が制定されました。また、石綿障害予防規則で義務付けられている作業開始前の石綿含有の有無の事前調査や、建築物などの解体・改修工事で必要な措置が実施されていない事例が確認されています。
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引用元:https://northk.jp/lp/
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