アスベストは構造が繊維状態で、防音・防熱性に優れた安価な建築材として重宝されていました。人が吸引することで健康に深刻な悪影響を与えるリスクを持つことがわかり、現在では使用が禁止され、既存の建造物もアスベスト含有が認められれば適切な処理が求められます。
今回はアスベスト含有調査の「みなし判定」について解説します。
アスベストのみなし判定の概要
アスベストは自然界に存在する鉱石で、石綿(いしわた、せきめん)と呼ばれています。名前の通りに綿のように細い繊維のような構造で、安価かつ耐火性・耐熱性に優れることから、絶縁材料や防火材として建築や産業用途に広く使用されてきました。
特に高度成長期は、高層ビルの建築が盛んで、多くのアスベストが用いられました。ところがアスベストは微細な繊維を含むため飛散しやすく、人が吸引すると呼吸器系に深刻な健康被害を引き起こすことがわかり、製造等が禁止されることになりました。
現在は、アスベストを含む建造物は利用者の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、法律で大規模修繕・模様替えの際の除去が義務付けられています。調査の結果アスベスト含有が認められた場合は、適切に処分する必要があります。
また不動産取引に用いられる建築物でアスベスト調査をおこなっていないものは、アスベストを含む可能性がある物件として取り扱われます。後からアスベスト調査して含有が認められると、物件の資産価値だけでなく信頼も損なうリスクがあります。
建築物がアスベストを含有するかどうかを調査し把握することは、建築物の利用者の健康面、および所有者の資産価値の面からも重要です。アスベスト含有調査は大きく分けて2つに区分されます。「事前調査」と「分析調査」です。
今回解説する「みなし判定」とは、対象となる建材に対してアスベストが入っているものとみなして扱う仕組みで、みなし判定を採用することで「分析調査」を省略できます。アスベストが含まれているかどうかを確実に把握するためには、専門機関に分析を依頼する必要がありますが、分析には時間もコストもかかります。
一方でみなし判定はアスベスト含有を分析せずに「含有しているもの」として、分析調査をスキップし、アスベストに対する安全・健康保護などの対策をとって作業を進めます。みなし判定のメリットは、判定に時間がかからないことです。
分析調査には相応のコストが必要ですが、みなし判定を導入することで分析工程にかかる準備・手続き・手間・費用を削減できます。
そのため、アスベスト含有確率が高い建材をもちいた建築物であれば、みなし判定を用いることで、分析の手間と費用をかけずに済むことがメリットです。一方で実際はアスベストを含まない建築物をみなし判定・処理してしまうと、建築資産を失うだけでなく、不要だった処理費用もかかるため、損をしてしまう可能性もあります。
この事態を避けるためには、建築物がアスベストを含む材料を建築材として用いていたか、用いていた場合はアスベストの毒性レベルの高さの程度を丁寧に調べ、慎重に判定することが大切です。
ただし2022年4月以降、建築物の解体工事は、事前に建材がアスベストを含有しているかどうか調査・報告することが義務づけられています。事前調査には図面調査と、目視による現地調査があります。
みなし判定を採用して建築物のアスベスト分析を省略する場合においても、事前調査の実施と超結果をまとめた報告書の作成・提出は省略できないため、注意が必要です。
アスベスト調査・対策にかかる手間
アスベスト調査をおこなう場合、建築物を施工した建築業者などに問い合わせをし、設計図書で、建物に使用した建材にアスベスト含有建材として指定された材料が含まれていないか確認します。
建材以外にも改修・補修・増築などの工事によりアスベストが使用された可能性もあるため、現地調査も必要になります。専門の業者が建物からアスベストの試料を採取し、アスベストの種類や含有量を分析することで、判定が確定します。
アスベストが検出された場合、専門業者による処理が必要です。アスベストの毒性レベルに合わせて特殊な封じ込め材料を使用し、アスベストが飛散しないよう、除去や封じ込め、囲い込みなどの方法で処理します。
さらにアスベストが含まれている建物や施設に対して、定期的な点検や監視を含む管理計画を策定することで、アスベストのリスクを最小限に抑えます。
アスベスト調査・対策にかかる費用
アスベストの調査にかかる事前調査と分析調査の合計費用目安は7万~13万円程度です。図面調査と目視調査を合わせた事前調査の費用の目安は、4万~8万円程度、分析調査の費用は3万~5万円程度が相場です。
アスベスト調査・対策は補助金を利用することで負担を軽減できるケースもあります。地方公共団体で補助内容が異なるため、自治体に問い合わせることをおすすめします。
まとめ
アスベスト調査の仕組み「みなし判定」について解説しました。アスベスト調査は事前調査と分析調査があります。みなし判定を導入することで、分析調査を省略できます。高い確率でアスベストが含まれると思われる建築物は、分析せずにアスベストを含有するとみなして処理を進めることで、分析調査の費用と手間を削減する効果をもちます。
ただしみなし判定を採用する場合においても、図面調査と現地調査による事前調査および調査結果の報告書作成・提出は省略できません。
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引用元:https://northk.jp/lp/
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