
DIYは多くの人にとって魅力的な趣味ですが、古い建物では予期せぬ危険が潜んでいる可能性もあります。とくに注意が必要なのが、かつて建材として広く使用されていたアスベストです。自宅のリフォームや解体を検討している場合、アスベスト建材を見分け、適切な安全対策を講じることが非常に重要になります。
目次
アスベストが使用されている可能性のある建材
アスベストは、非常に多くの建材に利用されていました。自宅の築年数が古い場合はとくに注意が必要です。具体的には、1970年代から1990年代にかけて建てられた建物には、アスベスト含有建材が使われている可能性が高いと言われています。アスベストが使用された主な建材としては、屋根材、壁材、床材、断熱材、吸音材などがあります。
屋根材・外壁材
屋根材では、スレート材(コロニアル、カラーベストなど)にアスベストが含有されているケースが多く見られます。また、外壁材としては、サイディングボードやセメント板にアスベストが練り込まれていることも多いです。
これらの建材は、風雨にさらされるため劣化しやすく、剥がれやひび割れからアスベスト繊維が飛散するリスクが高まります。特に高圧洗浄などを行うと、繊維が飛散しやすいため注意が必要です。
内壁材・天井材
室内の壁や天井にもアスベストが使用されていることがあります。例えば、ロックウール吹付け材や珪藻土(けいそうど)の一部、石膏ボード(せっこうボード)の裏打ち材としてアスベストが使われていることがあります。
これらの建材は、リフォームなどで切断したり穴を開けたりする際に、アスベスト繊維が飛散する危険性が高いです
床材・その他
床材では、クッションフロアの裏面やPタイル(コンポジションビニル床タイル)、長尺シートなどにアスベストが含有されている場合があります。また、配管の保温材やボイラーの断熱材、煙突の周囲など、目立たない場所にもアスベストが使用されていることがあります。
これらの建材は、DIYで除去する際に注意が必要です。
アスベスト建材の見分け方
アスベスト建材は、見た目だけで判断することが非常に困難です。しかし、いくつかの手がかりから、アスベスト含有の可能性を推測することはできます。最も確実な方法は専門家による調査ですが、DIYを始める前に自分である程度の情報を収集することも可能です。
建築時期と用途
建物が1970年代から2006年頃までに建築されたものであれば、アスベスト含有建材が使用されている可能性が非常に高くなります。アスベストの使用は2006年に原則禁止となりましたが、それ以前に建てられた建物には、まだ多くの場所にアスベストが残っている可能性があります。
とくに、建物の断熱性や耐火性を高める目的で使用されていた材料には注意が必要です。
製品名やメーカーの確認
もし、建築時の設計図書や仕様書が残っているのであれば、そこに記載されている建材の製品名やメーカーを調べてみましょう。インターネット検索で、その製品にアスベストが含まれているかどうかを確認できる場合があります。
また、建材の一部に製品名や製造年月が刻印されていることもありますので、注意深く確認してください。
専門家への相談と分析
最も確実な方法は、アスベスト調査の専門家や、建築士などの専門家に相談することです。専門家は、建材の採取と分析を行うことで、アスベストの有無や種類、含有率を正確に特定してくれます。費用はかかりますが、自身の健康や家族の安全を考えると、専門家による調査は有益かつ重要な投資と言えるでしょう。
DIYで建材を解体する前に、必ず専門家による調査を検討してください。
DIY時の安全対策と適切な処理
アスベスト含有の可能性がある建材を扱う場合、徹底した安全対策が不可欠です。適切な対策を講じなければ、自分だけでなく周囲の人々にも健康被害が及ぶ可能性があります。
個人用保護具(PPE)の着用
アスベスト繊維の吸入を防ぐためには、適切な個人用保護具(PPE)の着用がもっとも重要です。具体的には、N100またはDS2以上の防じんマスクを必ず着用してください。通常のマスクではアスベストの微細な繊維は防げません。
また、使い捨ての防護服(タイベック製など)を着用し、髪の毛や衣服への付着を防ぎます。
飛散防止と湿潤化
アスベスト繊維の飛散を最小限に抑えるためには、作業環境の管理が重要です。作業場所はビニールシートで養生し、区画を限定します。
また、作業中は窓を閉め、換気扇も停止するなど、空気の流れを最小限に抑えるようにしてください。アスベスト含有建材は、十分に湿らせてから除去作業を行うことで、繊維の飛散を抑えることができます。霧吹きなどで水をかけながら作業し、乾燥させないように注意しましょう。
電動工具を使用するとアスベストが飛散しやすいため、できる限り手作業で行うことが推奨されます。
廃棄方法と専門業者への依頼
アスベスト含有建材は「特別管理産業廃棄物」に指定されており、一般ごみとして廃棄することはできません。必ずアスベスト廃棄物の処理を許可された専門業者に依頼する必要があります。
除去した建材は、二重のビニール袋に入れるなどして厳重に梱包し、飛散しないように注意して運び出してください。DIYでアスベスト建材を処理しようとすることは、非常に危険であり、法律違反にもなりかねません。
まとめ
DIYは素晴らしい活動ですが、古い建物のリフォームや解体を行う際には、アスベストという見えない危険が潜んでいるかもしれないことを常に認識しておく必要があります。アスベストは、かつて多くの建材に利用されていましたが、その繊維を吸い込むことで深刻な健康被害を引き起こすことが明らかになっています。自身の健康と安全を守るためにも、建物の築年数や使用されている建材に注意を払い、アスベスト含有の可能性がある場合には、必ず専門家による調査を依頼することが重要です。
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引用元:https://northk.jp/lp/