築年数が古い家に住んでいる、あるいは購入を検討している場合は、アスベストのリスクについて真剣に考える必要があります。アスベスト繊維を吸い込むことで、肺がんや悪性中皮腫といった重篤な健康被害を引き起こす危険性があるのです。この記事では、アスベストの危険性から診断方法、そして除去にかかる費用まで、詳しく解説していきます。
目次
アスベストとは何か、その危険性について
アスベストは天然の鉱物繊維で、その特性から過去には多くの建築材料に利用されてきました。耐熱性、耐摩耗性、絶縁性、さらには耐久性に優れるため、壁材や屋根材、保温材など、様々な形で私たちの生活空間に深く関わっていたのです。しかし、その微細な繊維が空気中に飛散し、それを吸い込むことで肺の奥深くにまで到達し、長期にわたって留まることが健康被害の原因となります。
アスベストが健康に与える影響
アスベストを吸入することによって引き起こされる健康被害は多岐にわたりますが、特に問題となるのは石綿肺、肺がん、そして悪性中皮腫の三つです。
石綿肺は、アスベスト繊維の吸入によって肺が線維化し、呼吸機能が低下する疾患です。肺がんは、アスベスト曝露が原因で発症する可能性のあるがんであり、喫煙との相乗効果も指摘されています。最も深刻なのが悪性中皮腫で、これは肺を覆う胸膜や腹部の腹膜などに発生する非常に悪性度の高いがんです。
アスベストの使用状況と規制の歴史
日本においてアスベストの使用は、高度経済成長期にピークを迎えました。特に1970年代から1980年代にかけては、建築物の防火・断熱材として広く使用されており、この時期に建てられた住宅や建築物にはアスベストが含有されている可能性が高いと考えられます。
アスベストの診断方法とその流れ
アスベストが含有されている可能性がある建物、特に築年数が古い建物の解体や改修を行う際には、事前にアスベストの有無を調査し、適切な処置を講じることが法律で義務付けられています。この調査は、建物の種類や規模、そしてアスベスト含有の可能性のある建材の種類によって、様々な方法がとられます。専門知識と経験を持った調査機関による適切な診断が、安全な作業の第一歩となります。
事前調査と現地調査の重要性
アスベストの診断は、まず事前調査から始まります。これは、建物の設計図書や過去の改修履歴などを確認し、アスベスト使用の可能性を検討する段階です。これにより、おおよそのアスベスト含有建材の範囲を絞り込むことができます。
次に、専門家による現地調査が行われます。現地調査では、実際に建材を目視で確認し、必要に応じてサンプルを採取します。とくに、過去にアスベストが使用されていた可能性の高い箇所や劣化が進んでいると思われる箇所については、重点的に調査が行われます。
この事前調査と現地調査が、正確なアスベスト診断の基盤です。
アスベスト分析方法の種類
現地調査で採取されたサンプルは、専門の分析機関に送られ、アスベストの含有の有無や種類が分析されます。主な分析方法としては、X線回折装置による分析や偏光顕微鏡による分析が挙げられます。X線回折装置は、X線を物質に照射し、その回折パターンから結晶構造を特定することでアスベストの有無を判別します。
アスベスト除去の費用と補助金について
アスベストが含有されていると診断された場合、その除去や封じ込め、囲い込みといった対策が必要となります。とくに、解体工事を行う際には、飛散性の高いアスベストは完全に除去しなければなりません。アスベスト除去工事は、専門的な知識と技術、そして厳重な安全管理が求められるため、一般的な解体工事よりも費用が高額になる傾向があります。しかし、国や地方自治体によっては、アスベスト除去を促進するための補助金制度が設けられています。
アスベスト除去工事の費用内訳
アスベスト除去工事の費用は、主に足場設置費用、養生費用、除去作業費用、廃棄物処理費用、そして飛散防止対策費用に分けられます。
足場設置費用は、安全に作業を行うために必要なもので、建物の高さや形状によって変動します。養生費用は、アスベストの飛散を最小限に抑えるためのシートや資材の費用です。除去作業費用は、実際にアスベストを取り除く作業にかかる人件費や機材費です。
アスベストは特別管理産業廃棄物に指定されており、その処理には専門的な知識と高額な費用がかかります。飛散防止対策費用は、負圧除じん機などの機器の設置や、空気中のアスベスト濃度測定などにかかる費用です。
アスベスト除去の工法と費用比較
アスベスト除去には、主に「除去工法」「封じ込め工法」「囲い込み工法」の3つの工法があります。
除去工法は、アスベスト含有建材を完全に撤去する方法で、最も確実な対策ですが、費用も最も高額になります。飛散のリスクも高いため、厳重な管理下で行われます。
封じ込め工法は、アスベスト含有建材の表面を特殊な薬剤で固めて繊維の飛散を防ぐ方法です。
囲い込み工法は、アスベスト含有建材を新たな建材で覆い隠す方法です。封じ込め工法と囲い込み工法は、除去工法に比べて費用を抑えられますが、アスベストそのものが建物内に残存するため、将来的な劣化や解体の際に再度問題となる可能性があります。
まとめ
築年数が古い建物には、アスベストが使用されている可能性があり、その存在は深刻な健康被害を引き起こすリスクを伴います。アスベストは肺がんや悪性中皮腫など、重篤な病気の原因となることが知られており、その潜伏期間が長いことから、知らないうちに健康を蝕む危険性があります。自身の住まいやこれから購入を検討する建物にアスベストが含まれている可能性がある場合は、専門家による正確な診断が不可欠です。アスベストの有無を特定するためには、事前調査から現地調査、そして専門的な分析を経て、その種類や含有量を把握する必要があります。診断にかかる費用は建物の規模や調査範囲によって異なりますが、安全を確保するためには必要な投資と言えるでしょう。
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引用元：https://northk.jp/lp/
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