アスベストは、存在するだけでは健康への影響は少ないものの、飛散して吸い込むことで健康被害を引き起こす可能性があるため、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物処理法などで飛散防止や適切な管理が義務付けられています。そのため、現在では建物の解体や建て替えの際には、アスベスト使用の有無を確認するための調査が必須となっています。本記事では、アスベスト調査の費用や補助金の有無について詳しくご紹介しますので、調査を検討されている方はぜひご参考にしてください。
目次
アスベストの事前調査とは
アスベストは、かつて建材として使用されており、とくに戸建て住宅では天井や壁の石膏ボードなどに含まれていることがありました。アスベスト(石綿)は、天然の繊維状けい酸塩鉱物で「せきめん」や「いしわた」とも呼ばれる物質です。
かつては、ビルの保温や断熱のために吹き付け施工が行われていましたが、その後、肺線維症(じん肺)や悪性中皮腫、肺がんなど健康被害の原因となることが判明し、1975年(昭和50年)には使用が原則禁止となりました。
現在のアスベスト使用規制
現在、人体への悪影響を考慮し、アスベストの使用だけでなく、製造や輸入も原則として禁止されています。古い建物にアスベストが含まれていること自体には問題ありませんが、解体や改修工事に伴ってアスベストが飛散し、吸い込むリスクが生じます。そのため、これらの作業を行う際には、法律により事前調査の実施が義務化されています。
解体・改修工事時の事前調査と義務
工事を発注する事業者は、事前調査費用が見積もりに含まれているかを確認し、工事状況の写真記録を提出させるなど適正な工事事業者を選定するための確認が必要です。
また、事前調査は「アスベスト診断士」または「建築物石綿含有建材調査者」の資格保持者のみが実施可能で、適切な調査や報告を怠ると法的な罰則の対象となり、大気汚染防止法に基づき最大30万円の罰金が科されることもあります。
作業従事者へのリスクと保護対策
アスベスト含有建材が使用されている現場での健康リスクは、とくに作業従事者にとって深刻です。そのため、事業者は、アスベストが使用されている建物の解体や改修作業に従事する労働者に対して特別教育を実施し、リスクを認識させる義務があります。
さらに、アスベストを直接扱う作業では、電動ファン付きの防じんマスクや保護衣などの保護具を着用しなければなりません。
石綿健康診断の実施義務
アスベスト作業に常時従事する者は、雇用開始時、または業務変更時に医師による「石綿健康診断」を受ける必要があり、その後も6か月以内に1回のペースで定期的に受診することが義務付けられています。
この健康診断(特殊健康診断)では、作業歴、胸部エックス線検査、アスベストによる症状の確認などが行われ、異常がないかが定期的にチェックされます。このように、アスベストによる健康被害を防ぐため、事前調査にはさまざまな措置が講じられているのです。
工事現場の掲示板でアスベストの有無がわかる
建物すべてにアスベストが含まれているわけではありませんが、近隣で解体や改修工事が行われていると、アスベストが使用されているかどうかが気になることもあるでしょう。
こうした場合、工事現場に設置されている掲示板で、建築物にアスベストが含まれているかや、含まれている場合にどのような対策が講じられているかを確認することができます。とくに、使用されていない場合は「石綿は使用されていませんでした」と明記されており、わかりやすく表示されています。
この掲示は、厚生労働省の指導により、解体・改修工事を行う事業者に対してアスベストの有無や処理方法、アスベスト除去作業の期間などを工事現場の見やすい場所に掲示するよう義務付けられているためです。掲示内容を確認することで、アスベストの有無や含まれている場合の飛散防止対策などを知ることができます。
アスベストの事前調査費用
アスベストの事前調査費用は、建物の規模や構造により異なります。また、建物固有の事情、たとえばアスベストの危険レベルが高い場合などでは、費用が相場より高額になることもあります。
たとえば、面積の小さな建物では1万円程度で済むこともありますが、大規模な建物では90万円以上の費用がかかる場合もあります。さらに、図面調査だけでなく現場での確認が必須となっており、工事現場の位置や規模に応じて現場調査費用が加算されることもあります。
このように、建物の規模やアスベストのリスクレベル、立地条件などにより、アスベスト事前調査の費用は大きく変わります。そのため、複数の事業者から見積もりを取り、費用の相場や適正価格をしっかりと確認し、最適な事業者を選ぶことが重要です。
アスベストの事前調査に補助金は使える
アスベストの事前調査を行う際には、地方公共団体を通じて申請し、国から補助金を受け取ることが可能です。補助金の対象となるのは、アスベストが使用されている可能性のある住宅や建築物で、とくに吹付けアスベストやアスベスト含有の吹付けロックウールが施工されている箇所が該当します。補助金の限度額は通常1棟あたり25万円となっています。
申請手続きは各地方公共団体で行われ、制度の内容や申請方法は地域により異なるため、事前に各市町村へ確認しておくとよいでしょう。
注意点として、補助金の金額が25万円に満たない自治体や補助金制度自体がない自治体もあります。たとえば、東京都内でも地域によっては最大25万円の補助金が支給される区がある一方、上限が5万円程度の区もあります。
また、一部の自治体では「アスベスト調査分析専門員派遣事業」として、アスベスト調査の分析を無料で行う専門員を派遣するサービスも提供されています。
補助金額だけでなく、各自治体で提供される調査支援サービスの有無も確認し、最適なサポートを受けられるようにしましょう。
まとめ
今回は、アスベストの事前調査がどのように行われるか、その費用や補助金の利用可否についてご紹介しました。アスベストは肺線維症(じん肺)や悪性中皮腫などの深刻な健康被害を引き起こす可能性があるため、適切に処理し、作業に従事する人や今後その建物を利用する人々の健康を守ることが重要です。そのため、国が定めたアスベストの事前調査を必ず実施し、報告を行うことが求められています。罰則規定も存在するため、事前調査をおこたることは避けなければなりません。アスベストの事前調査にかかる費用には上限がありますが、補助金を活用することで負担を軽減できます。調査を実施する際は、補助金や各自治体が提供するサービスを積極的に利用し、作業従事者や建物の利用者にとって安全で確実な作業環境を確保するよう努めましょう。
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引用元:https://northk.jp/lp/
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