アスベストは、その有用性から多くの建築材料に使用されていましたが、人体にとって有害であることが判明し、現在の建材には使用されていません。しかし、古い建物には依然アスベストが残っており、建物のアスベスト調査は不可欠です。本記事では、実際にアスベスト調査をおこなう際に必要な資格について解説します。
アスベストは便利だけど危険?
アスベストは天然の鉱物繊維です。耐熱性、耐摩耗性などのさまざまなメリットがあることから、建築資材や工業製品に広く利用されてきました。日本では1970〜1990年代にかけて年間約30万tものアスベストが輸入され、おもに建築分野で使用されていた背景があります。
しかし、この便利な素材には重大な欠点が存在します。それは、アスベストが人体に深刻な健康被害を引き起こす可能性があるということです。
アスベスト繊維は非常に細かく、加工や解体の際に空気中に飛散する場合があります。これを吸引すると、繊維が肺に蓄積され、時間をかけて肺がんや石綿肺などの病気を引き起こす恐れがあるのです。
とくに恐ろしいのは、潜伏期間が15〜40年と非常に長い点で、このことから静かなる時限爆弾とも呼ばれています。
アスベストの調査には資格が必要!
先述したとおり、現在はアスベストは非常に危険として周知されていますが、70〜90年代に建設された建物には、アスベストが含まれている可能性が高いです。現在はこれらの建物が老朽化し、解体や改修が必要となるケースが増えています。
ある推計では、アスベストを含む建物は280万棟にものぼるとされ、これらの解体や改修作業で適切な管理・対策を怠ると、人体に健康被害が発生するリスクがあり大変危険です。
こうした被害を防ぐには、専門知識をもつ有資格者による事前のアスベスト調査が不可欠です。調査結果をもとに、アスベストの有無やその状態を確認し、適切な処理方法を計画できます。
とくに、2023年10月以降は建築物石綿含有建材調査者の資格をもつ者による調査が義務化されました。これにより、ますますアスベストを含む建材の適切な管理・除去作業が求められているといえるでしょう。
建築物石綿含有建材調査者とは?調査に必要な資格一覧
アスベストの調査をおこなうためには専門の資格が必要です。とくに建築物石綿含有建材調査者の資格は、アスベストの調査と除去方法を提案するために重要です。
ここでは、建築物石綿含有建材調査者をはじめとするアスベスト調査に関連する資格について説明します。
アスベスト診断士
アスベスト診断士は、既存の建築物におけるアスベストの使用状況を調査し、安全に取り扱うためのアドバイスをおこなう資格です。この資格を取得するには、アスベスト診断士養成研修会を受講する必要があります。この研修では、アスベストに関する基礎知識や調査、分析、診断、そして適切な処理方法を学びます。
ただし、アスベスト診断士の講習会に参加するには、以下のような条件を満たすことが求められます。
・石綿作業主任者技能講習修了者である
・第1種の作業環境測定士である
・一級建築士または二級建築士の免許登録者である
・一級施工管理技士(建築施工管理)の資格保有者である
・労働衛生コンサルタントの資格保有者である
・アスベスト除去に関する3年以上の実務経験をもつ
・アスベスト調査に関する1年以上の実務経験をもつ
なお、2023年10月1日以降は、アスベスト診断士が事前調査をおこなうことはできなくなりましたが、日本アスベスト調査診断協会に入会することで引き続き調査に携われます。
建築物石綿含有建材調査者
建築物石綿含有建材調査者とは、解体や改修を予定している建物や構造物において、アスベストの有無を中立的に調査する専門家です。厚生労働省、国土交通省、環境省の告示にもとづく講習を受け、修了考査に合格することが資格取得の条件です。
建築物石綿含有建材調査者には、一戸建て、一般、特定の3つの区分があり、調査可能な範囲が異なります。この資格を取得するためには、以下の学歴および実務経験が必要です。
1.大学卒(建築関連課程修了)で、卒業後建築関連の実務経験2年以上である
2.短期大学卒(3年課程)で、卒業後建築関連の実務経験3年以上である
3.短期大学または高等専門学校卒で、卒業後建築関連の実務経験4年以上である
4.高校または中等教育学校卒で、卒業後建築関連の実務経験7年以上である
5.【1〜4に該当しない者】学歴不問で、卒業後建築関連の実務経験11年以上である
6.建築行政または環境行政(アスベスト飛散防止に関するもののみ)に関わる者で、実務経験2年以上である
7.特定化学物質作業主任者技能講習修了者で石綿含有建材の調査に関する実務経験5年以上である
8.石綿作業主任者技能講習修了者(経験不問)である
9.産業安全専門官もしくは労働衛生専門官、産業安全専門官もしくは労働衛生専門官であった者
10.労働基準監督官として従事した経験を2年以上有する者
11.建築物石綿含有調査者で、建築物石綿含有調査者として石綿含有建材の調査に関する実務経験年数が2年以上の者、あるいは受講資格区分番号1~7、8-b~10に該当する者
また、アスベストの調査に関連する資格として、石綿作業主任者、作業環境測定士、高所作業車運転特別教育、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者があります。
これらの資格もアスベスト作業にともなうさまざまなリスクを管理し、安全な作業環境を確保するために役立ちます。とくに石綿取扱作業従事者特別教育は、アスベストの基礎知識を身につけられ、関連業務に有用です。
まとめ
アスベストはかつて建築資材や建物内の吹き付けなどに広く使用されていました。現在では使用禁止になっているほど、危険な物質として知られています。そのためアスベストの調査や除去には、専門的な知識と技術が求められるのです。適切な資格を持った専門家による調査と対応は、健康被害を防ぎ、安全な環境を保つために欠かせません。
また、アスベストが飛散しないように適切に対処することで、将来的な健康被害を未然に防げるでしょう。
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引用元:https://northk.jp/lp/
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