1960年に、飛散したアスベストを吸い込むと、肺線維症や肺がんを起こす原因になると言われ始めました。その後徐々にアスベストの使用が禁止され、2012年にやっと全面的に廃止されました。しかし、現存する建物の中には、アスベストを使った建物が残っています。
そのため、現代でアスベストによる被害を出さないために、アスベスト事前調査が義務化されました。本記事では、アスベストの事前調査について解説します。
目次
アスベスト事前調査や報告の義務化について
アスベストが使われた建物は、老朽化によって解体やリフォームが進められており、作業にたずさわる作業員たちが健康被害に合わないよう、電子システムの「Gビス」で事前調査の結果報告が義務化されました。
報告の対象になるのは、床面積の合計が80平米以上の解体や請負代金の合計が100万円以上の建築物、20トン以上の鋼製の船舶の改修や解体作業です。
さらに2023年10月には、アスベストの事前調査や分析は資格をもった人に限定し、規制が厳しくなりました。アスベストの事前調査ができるのは、建築物石綿含有建材調査者とアスベスト診断士で、分析ができるのは石綿分析技術評価事業者やアスベスト偏光顕微鏡実技研修を修了した人などです。
また、工事の発注者も、「特定粉じん排出等作業実施届出書」などの書類の提出が義務付けられています。
アスベスト事前調査の流れ
アスベストの事前調査は、まず発注者から「リフォームや解体をする予定の建物のアスベスト事前調査をお願いしたい。」と情報提供があったあと、書面調査と目視調査、サンプル採集と分析が実行されます。
書面調査では、図面をもとに施設管理者や工事事業者などにヒアリングなどで情報を入手し、アスベストが使われている可能性のある場所や造りを想定していきます。どの部屋にどんな建材が使われているか、過去に改修された部分はあるかなどもチェックします。
次に目視調査です。書面調査の内容と、現場を照らし合わせていきます。この際、解体や改修工事の流れの把握も同時に行います。各部屋の床材や天井、金属パネル裏打ちやダクトが通じる部分なども確認することが大切です。
アスベストが含まれる材料が使われていないかしっかり確認します。その際、アスベスト含有が疑われるものがあれば、サンプルをとって検査します。
アスベストの事前調査は、情報提供から書類調査が終わるまで、約2週間~4週間ほど掛かり、分析までは約3週間ほどと、長期に渡る場合が多いです。ただし、以下の方法なら分析調査を飛ばしてもよいとされています。
みなし判定工事なら試料採取や分析調査は不要
みなし判定工事を選択するなら、アスベストの分析調査なしでも工事を開始できます。試料採取と分析の工程を省くため、約3週間の待ち時間を短縮できます。
みなし判定工事では、アスベストが使われていなくても、アスベストが使われているとみなした工程で解体を進めます。しかし、分析を省いた分、アスベストの危険度が最も高い基準と想定して工事をするため、安全対策費が嵩む可能性が高いです。
そのため、分析をしなくてもアスベストが使われている可能性が高い建物や、再資源化する予定のない建物を工事する予定の人におすすめです。また、あくまでも分析調査のみが不要なだけで、書面や目視による調査と報告は免除されません。この認識を間違えると、行政指導の対象になるため注意が必要です。
アスベスト調査が必要ない事例もある
アスベストを使って建てられた可能性の高い建物は、規制が強化された2006年9月1日より前につくられた建物です。そのため、2006年9月1日以降に着工された建物やアスベストの保有がない素材でできた建物、アスベストの飛散がない表面的な工事の場合は調査は不要です。
ただし、調査が必要なくても「アスベストを使っていない建物である」ことを報告する義務があるので忘れないようにしましょう。自治体によっては報告の期日が決まっていることもあるので、要注意です。
アスベスト事前調査や報告をしないとどうなる?
先述した通り、アスベストは健康被害を生むため適正に排除する必要があります。そのために「石綿障害予防規則」や「大気汚染防止法」などで事前調査や報告の義務化が強化されており、怠れば30万円以下の罰金や3か月以下の懲役刑が課せられる場合もあります。
また、アスベストの飛散防止対策を徹底していても、事前に報告がなければ罰則の対象になります。そのため、みなし判定工事を考えている人はとくに注意しましょう。
アスベスト調査で使える補助金や融資制度
アスベストの健康被害を防ぐため、国や各自治体ではアスベストの調査を無料化や補助金対象にしており、リフォームや解体したい人には、融資制度をすすめています。個人向けや中小企業向けに、リフォームに関する融資がいくつか用意されているので、興味のある人はチェックしてみてください。
2006年9月1日の着工以前につくられた建物で、家以外に事務所や倉庫、工場などにアスベストが使われてる確率が高いです。自分の保有する家や会社、倉庫などにアスベストが使われている可能性がある人は、補助金や融資制度の利用を検討しましょう。
北海道でアスベスト事前調査で使える補助金
札幌市では、札幌市民間建築物吹付けアスベスト対策促進事業により、無料で調査可能です。吹付けアスベストや吹付けロックウールの撤去にかかる3分の2の費用を補助してくれます。限度額は120万円です。
ただし、吹付けバーミキュライトや吹付けパーライト、スレートボードなどの建材は対象外です。アスベストがばく露する可能性のあるもののみ対象なので、よく確認しましょう。
また、対象は札幌市アスベスト台帳に記載されていて、建築基準法第6条に定める建築基準関係規定に適合しているものである必要があります。札幌市アスベスト台帳に記載されるには、アスベスト事前調査と報告を行いましょう。
調査の無料化や補助金の限度額などは、自治体によって異なります。お住まいの地域の情報を参考にしてください。
アスベスト撤去費用の相場
アスベストを撤去するのにかかる費用は、アスベストの種類や規模、作業内容によって大きく変わります。とくにアスベストは危険度の基準が1~3の3段階で設定されており、レベル1が最も危険なので費用も高額です。
レベル1は、建物の天井や壁、柱など広い範囲にアスベストが吹き付けられている状態です。アスベストが飛散しやすい状態なので、作業は慎重に最大限の安全策をもって行われます。費用は、1m2あたり1.5~8万円が相場です。
レベル2は、空調ダクトや配管、柱や梁などにアスベストが吹き付けられており、アスベストの上に保温材や板などで覆っている状態です。レベル1より飛散しにくい状況のため、ワンランク下になっています。1m2あたり1~5万円が相場です。
レベル3は、建物内部にアスベストを吹き付けていても、上からビニル床タイルや成形板などを張り付けている場合や、屋根材にアスベストを含んだ素材を使っている場合です。飛散する料が少ないため、相場は1m2あたり3,000円ですが、作業が複雑になると値段が上がることもあります。
まとめ
アスベストの事前調査と報告は義務化され、有資格者だけが行えます。アスベストは2006年より前につくられた建物に使われていることが多いので、リフォームや建て替えなどを考えている人は、早めに調査を依頼してください。
アスベストは、吸い込んでから健康被害が出るまでに時間がかかったため、問題だと指摘されるまでに時間がかかってしまい、健康被害の兆候が明らかになってから全面廃止になるまで50年以上もかかっています。アスベストの有無は、自分でかってに判断せず、自治体の相談窓口や専門家に相談しましょう。
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引用元:https://northk.jp/lp/
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